音楽
2019年05月25日

音韻の世界

 皆さんは「押韻」という表現技法をご存知でしょうか。中学内容では国語の中の漢文や漢詩の分野で触れることになります。単語ごとに母音(ア・イ・ウ・エ・オ)を揃えてリズムを取り、印象を深める技法なのですが、例を挙げると「流(ryu)・州(shu)」のように二つともウ段の音でまとめる、といった具合です。


これはラップミュージックでは基本の技法となります。

 

 

 メジャーなラップミュージックでは韻にフォーカスしている楽曲はそれほど多くはないのですが、ネットラップでは「韻を踏むこと」をテーマとした楽曲もいくつか制作されています。


 音楽での韻には長さや固さが重視されます。


 「長さ」は母音をどれだけの文字数で連続して揃えられているかを表します。
例えば、「いたずら」と「火だるま」は共に母音が” iaua”で揃っており、4文字で踏んでいる、ということになります。


「固さ」は母音を揃えるのはもちろんですが、子音までどれだけ揃えられているかを表します。


例えば、「追体験」と「付いた意見」はともに「ついたいけん」なので子音も母音も両方揃っている、ということになります。


踏んだ母音数が長ければ長いほど、また固ければ固いほどより難しくなるので、技術や言葉の知識量が試されます。


 ちなみに、全てが「ア段+っ」だけで構成された歌詞を書いた人も存在しました。その人は天才だと思います。

 

 

言葉で自己表現を行う歌詞も魅力があふれていますが、韻にフィーチャーした歌詞を書くこと、長さや固さ、数を増やしていく歌詞にはある種の文学的な魅力があると感じています。ポップスよりも歌詞の構成が難しい分、出来上がるものは曲でも歌詞でも楽しめるものになっていることが最大の魅力であると言えます。

 

 

講師 木ノ本

 

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