情報論
2019年02月01日

情報の重要性

情報の重要性を述べる文章を良く見かけます。そして、情報とは知識のことを指し、それを発信することは他者に自身の知を伝達するということになります。最近、この情報が非常に大きな価値を持ち始めるようになりました。
 ただ、それを理解するためには、まず、情報が人類有史以来常につきまとってきた概念であったことを理解せねばならないでしょう。例えば、原始的な情報とは、風土や特定地域に出没する動物についてのことなると思います。しかし、それらの原始的な情報はその一地域のみで過ぎるに及ばず、全体に伝播するものではありません。あえて言うならば情報を握ることによって井の中の蛙にはなれるが大海のサメにはなれないのです。
 つまり、世界的な規模で優位に立つことは原始的な情報では不可能だったのです。これが高度化されたことによって情報を握ったものが世界的な規模で優位に立てることとなりました。


 そして、情報を高度化させた要因は「電信」にあります。これによって世界の端で顕現した情報をまた端へ高速に送ることができるようになりました。つまり、情報の鮮度を落とすことなく大量の情報を一つの場所に集めることができるようになったのです。それはまた、情報が容易にあらゆる場所で貯蔵されるようになったことも指します。このようにして情報というものが広く伝わり、人々に影響を与えていきました。そして、それは文明に影響を与えるほどの強大な影響へと変容していき、文明史に影響を与えることとなりました。


 それは、例えば法学の世界でもその影響を垣間見ることができます。
 インサイダー取引という法律用語がありますが、これは株式が大きく動くときにその情報を事前に知っていた人間がその情報を元に取引を行うことを禁じるというものです。当然これに違反したものは法の下において罰せられます。ここで着目したいのは「知(=情報)を有するものを罰する」という法律が作られたことにあるのです。これは情報の占有を防ぐことが目的なのです。つまり、情報を占有した人間に不当に利益が集まることを避けるために生まれた手立てなのです。情報によって不利益を被る人間とそうでない人間の差を浮き彫りにしたこれらの手法が生まれた背景は情報が人類の進歩を阻害し、文明に影響を与えたと考えられる証左ではないでしょうか。
 以上のように、最近、情報を統制する動きが顕著に現れるようになってきました。これは情報の伝達が進歩したことが大きな要因になっているのです。

 

大西優司

入塾の流れ