経済学で説明する人間が引き起こす環境問題の人間による解決方法

さて、突然ですが科学という言葉をご存知でしょうか?
この言葉、聞かれてしまうとなかなか説明するのが難しいのではないでしょうか。「具体的に言うと物理」であったり、「なんか計算するもの」であったり、こういう説明になってしまうと思います。

 

 

ここはひとつ定義付けしましょう。
「この世に起こる事象を論理的に体系立てて考えること」
これを科学と呼びます。

今日は科学的分析を用いて「経済学で説明する人間が引き起こす環境問題の人間による解決方法」を考えましょう。

 

 

そのための予備知識としてアダムスミスの「神の見えざる手」を説明します。この「神の見えざる手」とは個人の利己的な行動がいずれ社会的分業へと変化していくというものです。市場放任主義の基本的な考え方で、後の経済学に大きく寄与しました。

 

 

 ここでこの利己的な行動というものを環境に置き換えて考えてみると財(=自然資源)を何も考えずに食いつぶすということになります。故に、オープンアクセスな共有地(=コモンズ)にはこの神の見えざる手が通用しません。そこにアクセスする者がそこで社会的活動を行っているとは限らないからです。つまり、その場に全く関係のない人間には共有地が食いつぶされることに対して全く意に介さないため利己的な行動に走りやすいということになります。それを防ぐために利己的な人間の食いつぶしを対策するためには共有地に何かしらの制約がなければならないという考え方が現れました。
 その考え方が土地の私有化と法の制定です。


 土地の私有化を行うことによって、その区画を平等に分け、自由な食いつぶしを防ぎます。当然分け与えられた者からすると食いつぶされることをよしとする訳がありませんのでこの方法は妥当ではないでしょうか。
 法の制定では第三者の介入をもって土地を守ります。土地に対する税金を課すことによって、監視する者を作り出し、その監視をもって食いつぶしを防ぎます。

 

 

 しかし、この二つの考え方にも問題点があります。それは私有地が生み出す「早い者勝ちの風潮」です。一人勝ちできてしまう状況ですね。結局「土地を守ること」が出来ても、「平等」は守られません。
 法律については文化の影響を受けやすく国際的な取り決めにおいて効果が薄れてしまいます。

 

 

 次に生態系サービスという考え方によって解決を試みましょう。
 生態系サービスは生態系が持つサービス(無形のものという意味)が有限であることを認識し、より効率的な資源の使い方を試みるという考え方です。
 そこで考えなければならないのはどこを重視して効率化を目指すかということです。代表的なものは三つあります。

 

 

 まずは、自由経済の元で技術革新を起こし、資源の利用効率をたかめるべきという考え方である「利用効率を重視する効率化」です。しかし、これは公正配分も持続性も計画されないので先が見えないという弱点があります。
 次に出自によって生じる富の不公平配分を解消すべきという考え方である「公正配分を重視する効率化」です。これにもまた弱点があり生活水準を落とさない限りたちまち資源が枯渇してしまいます。
 最後に生態学的に持続可能な範囲に人間活動を制限し、破壊を回避すべきという考え方である「持続性を重視する効率化」です。しかし、人類の経験不足がネックで客観的証拠と予測精度の不足が懸念されます。

 

 

 効率化はメリットデメリットが切って切り離せない関係となっています。つまり、手法を取捨選択しなければなりません。そして、それを決めるのが多数決の原理です。メリットデメリットがある以上全員が納得出来る答えを選ぶことは不可能です。故に全員を納得させる答えへと決者が錯覚させる必要があります。このことを公開議論の価値形成といいます。そして、この議論は科学的なプロセスをもって議決されます。

 

 

 科学とは問いに対して様々な仮説を何度も立てて検証することによって営まれています。仮説の積み立てが科学である以上その仮説が正しいかどうかを検証することはメビウスのリングをなぞり続けるような作業で一生終わりがありません。つまり、実証主義的論理を否定した現在の科学では真理にたどり着くことは不可能なのです。
 しかし、現在の科学は複雑な自然界を分析するにはうってつけの考え方であり、我々は自然のその複雑性において未だ科学以外のプロセスをもって考える手段を与えられていません。これは暗に自然界の真理を知ることは今をもっても未だ不可能であることを指し示しています。しかし、いずれたどり着くかもしれない真理に夢を馳せるとは、儚いけれどもとてもロマンチックなことではないでしょうか。

 

 

講師 大西優司

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